東京一極集中問題の解決
―災害から都民を守る―
早稲田大学社会科学部2年
政策科学研究ゼミナールⅠ
秋山 侑

※赤丸が中野区の危険地帯(秋山が追加)
出典:東京都都市整備局 『あなたのまちの地域危険度』
研究動機
2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに、私達は日本での生活が、地震などの災害と常に隣り合わせであることを再認識した。東京都に住む自分も、自宅の防災設備や地域の防災マニュアルの確認を行った。その中で、とある地図が自分の目を引いた。東京都都市整備局が発行した、『あなたのまちの地域危険度』というパンフレットの中にある、『災害時活動困難度を考慮した火災危険度ランク図』という東京都の都心部のハザードマップである。この図は、東京都が大きな地震に見舞われた際の被害想定を、危険度1-5で表して図化したものである。その中で、自分の住む中野区の一部が、火災危険度が最大のランク5として危険地域に指定されている。自宅の近くが、大地震の時は火の海で燃えてしまうと考えると、非常に恐ろしく感じた。
調べていくうちに、中野区では木造住宅の密集が火災の原因であることがわかった。他の地域でも、東京という大都市の一極集中がもたらす弊害が、災害時には大きな被害となる恐れがあるということは充分に考えられる。
日本の重要な機関などの多くが集中している東京であるが、この一極集中を解消すれば、災害の被害を抑えることができるのではないか、また、2020年に開催が決定された東京オリンピックに向けて再開発が進むなか、新たな東京に変貌しても、防災と都市機能の両立は必要上可欠であると考え、これを研究テーマに決めた。
東日本大震災の後であり東京オリンピックも決定し、人々も高い防災意識を持ち、防災対策に重点を置く政府、問題を解決しようという政策(国土強靭化基本政策)が出揃った今は、こうした政策が実行に移される非常に良いタイミングだと思われる。
研究概要
東京の一極集中について、各文献を参考にしてこれらが実際にどのように影響してくるか考察し、とくに防災面においての問題点を重点的に挙げる。
それに対し、各文献を参考に、一極集中を解消し地方に分散させることで、東京の安全をはかるのか、一極集中を解消しない、別の解決案があるのか、考えていきたいと思う。
その中で、政府の国土強靭化基本政策についても、政策案として分析し、評価考察を研究する必要がある。

出典:内閣官房 国土強靱化の推進に関する関係府省庁連絡会議(第6回)
国土強靱化政策大綱(案)の概要
章立て
- ハザードマップ
問題認識のきっかけになったハザードマップの確認・分析
地震(・洪水・台風)の被害想定
- 一極集中の認識
具体的に何が・どのように東京に集まっているのか
- 一極集中の原因と弊害
原因と弊害
- 防災面での弊害
防災という観点から、一極集中のもたらす弊害
- 一極集中を取り除く取り組み
一極集中をやめるための具体的な現行の政策
防災のために住宅密集などの対策を行っている事例
- 政策提言
- 一極集中を改善(地方分散)し、東京都の防災を高める
- 一極集中を改善せずとも、小規模な政策や技術や人々の意識の高まりで防災を行なう
第1章 ハザードマップ
第2章 一極集中の認識
第3章 一極集中の原因と弊害
第4章 防災面での弊害
第5章 一極集中を取り除く取り組み
第6章 政策提言
参考文献
Last Update: 2014/2/7
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