日本におけるセクシャル・マイノリティについて
早稲田大学 社会科学部
政策科学研究ゼミ 2年
和田 恵美

Fren's LGBT blogより
研究動機
私が小学生の頃に、中学生の女の子が性同一性障害に苦しむという内容のドラマが放送された。そのドラマは幼いながらにとても衝撃的なもので、これがセクシャル・マイノリティについて興味を持ったきっかけだ。
同性婚を禁止するキリスト教徒の多いと考えられる南米やヨーロッパを中心として、世界では徐々に同性婚を国が認める動きが起きている。しかし宗教上の理由で認知出来ない他の国に比べて、容認されやすいはずの日本ではあまり関心を持たれていない現状である。そこには宗教的な問題だけではなく経済や雇用などの社会的な障壁があると考えられる。江戸時代には日本では男性同士の同性愛を武家社会では「衆道」と呼び広く同性愛がごく普通のこととされていた。しかし明治になり同性愛を異常だとする西洋式の「先端」の思想がその他さまざまなものと同様に輸入されたことにより同性愛者は異常だと認識され、差別を生んだ。
第二次世界大戦に敗戦した日本は、国を立て直すために急速な経済成長を迫られ、人口を増やす必要があった。そのため子どもの出来ない同性婚は社会に受け入れられにくい状態となった。現在、経済発展は遂げたものの少子高齢化社会で人口は減少の一途をたどる日本において、果たして同性婚は受け入れられるのか。
また今から少し前の時代でも、特に銀行員は結婚をしていないと出世ができない、というイメージがあった。結婚ということは普通の人ならするものであって、結婚出来ない、またはしないのは何かその人自身に問題があるからだと考えられたからだ。このように、普通ではない、多数者であるヘテロではないという偏見や差別は人々から労働の機会を失ってしまう恐れがある。
このような問題を経済や雇用だけでなく、その他様々な面から考察し、日本における「家族」とは何か、またこの問題を解決するにはどのような政策が必要かを研究したいと考え、このテーマを選んだ。
章立て
第一章 LGBTとは
第二章 日本における同性婚の歴史
第三章 同性婚が齎す日本への影響
第四章 政策提言
概要
第一章 日本ではまだまだ認知が浅いLGBTという概念について。
第二章 研究動機でも述べたように、古く日本には同性愛を認める文化があった。どのような時代を経て何故差別されるような社会ができたのかについて。
第三章 同性婚が認知された場合、人権が尊重されたと手放しには喜べない。少子化が進む日本にとって子供を産むことができない同性婚を認めることよって問題があるのではないか、またはその他に影響があるのかについて。
第四章 政策提言
第一章
LGBTとは女性同性愛者(Lesbian)、男性同性愛者(Gay)、両性愛者(Bisexuality)、トランスジェンダー(Transgender)の頭文字をとって作られた言葉である。
参考文献
- セクシャルマイノリティ教職員ネットワーク編 『セクシャルマイノリティ【第3版】』 明石書店 2012年
- セクシャル・マイノリティって何? (アクセス日 2014年1月6日)
- 石原明・大島俊之編著 『性同一性障害と法律 −論説・資料・Q&A−』 晃洋書房 2001年
- 好井裕明編著 『セクシャリティの多様性と排除』明石書店 2010年
- エリック・マーカス著 金城克哉訳 『同性愛を知るための基礎知識』 明石書店 1997年
- エマニュエル・トッド著 萩野文隆訳 『世界の多様性 家族構造と近代性』 藤原書店 2008年
Last Update:2014/2/7
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