私がこの研究をやろうと思った理由は大きく4つに分かれる。
一つは、私は東京出身で東京育ちであり、一時期埼玉県に住んでいた時期もあるが人生のほとんどを東京で生きてきたということ。
二つ目は、私は今旅サークルに入っていてもともと観光に興味があったから。
三つめは、私は紅葉が好きで、よく奥多摩の紅葉を見に行くのだが、東京都であるにもかかわらず、都内に比べて、観光客が少なくていつもびっくりしていて理由を知りたかったから。もともと、東京のど真ん中にある高校に行っていて、その時は部活している途中に、外国人に話しかけられるというような経験が結構あった。そのため、奥多摩に行ったときは、少し離れるだけでここまで変わるんだなとよく思っている。
四つ目は少し調べてみて分かったのだが、今日本政府が進めている観光立国化であるが、確かに東京都全体の観光客数そのものは増えている。しかし、実際は後述するように、ほとんどが23区とりわけ山手線の中だけ増えているような感じになってしまっている。
そのなかでも、奥多摩地域は、少子高齢化が顕著に表れていて、またそのなかで、観光業の経済における割合は大きく、また観光客数も減少してしまっている。一方で首都圏に近い地域では急速に増加が進んでいる。このまま何もせず放置すると、東京都の中でも観光業による恩恵の格差が広がってしまい、またそれによって経済格差も広がってしまうのではないかと思いこの研究をしようと思った。
東京都全体の観光客数は、平成24年時点で外国人観光客数は556万人で、日本人は4.7億人になっている。もちろんこれはビジネス客の人数も含まれている。また、観光客が観光先で消費する観光消費額は4.7兆円でそれに伴う観光による経済効果は約10兆円に上るといわれている。
一方で西多摩地域は、平成13年において770万人いた観光客は平成18年においては730万人と減っている。ちなみに、伊豆や小笠原のような離島地域の観光客数は昭和45年に110万人であるが、平成22年には44万人と減ってしまっている。以上の事から考えると東京に来る観光客数の比を考えてみたとしてもあまりにも少ないという現状が分かる。これは、東京に来る観光客のほとんどが東京の中心に集中してしまい他の地域にほとんど浸透していないことが分かる。また、東京の観光客は政府の観光政策によって近年大幅な上昇を見せているが、一方で東京でも郊外になってしまうとその恩恵は全く見られないほか、むしろ減ってきてしまっているという現実がある。
日本人の場合、若者の観光というより、ビジネス層の多い30代や50代が多いという特徴を持つ。また、昔の社員旅行のような団体旅行は減少の一途をたどっている。平成9年から平成13年の間に20%減っている。また、これまでは一定の価格帯に多くの需要があったものの、今となっては、需要と価格が共に二極化してしまっている。また、宿泊する観光客が減り、日帰り観光客が増えてきている。平成13年においては65%のひとが宿泊することなく、日帰りで旅行を済ませている。その影響もあるのか、地方から都内に来る人は、都心にとどまってそこから少し離れたところにはいかない傾向がある。日本はバブル期以降不景気が続いてしまい、経費削減のため日帰り旅行が多くなった。また、不景気が継続してるという事もあり、日帰り旅行が広く浸透しているように見える。宿泊はホテル代が観光地におちるだけではなく、夕食や朝食における費用も観光地に落とすことになる。もし、ホテル代が4000円で朝食、夕食ともに1000円ずつだったとすると合計6000円、少なくとも朝食とホテル代の5000円は日帰りの観光客より手に入れることができる。それに、観光客が1000人いたとすると500万円多く手にすることができる。また、宿泊すると、時間に余裕もあるので多くの観光地に行くことも可能になる。つまり広範囲にカネを落とすことができる。このようなことを考えると、日帰りの観光客が多いというのは観光地にとって厳しい現状であるともいえる。奥多摩の場合、東京から電車で2時間近くかかるが、日帰りで行けないことはない。また、景気がこの先はたしてよくなるかということを考えてみても先行き不透明な感じは否定できない。以上のことから、東京からの日本人観光客に宿泊も含めた観光客がすごい増えるのかといわれるとなかなかきびしいものがあるのではないか。
では外国人はどうなのであろうか!?外国人は日本人とは異なる傾向が出ている。やはり、外国に来れるだけの体力があるからという事なのか、外国人は20代や30代が多い。ビジネス客も確かにいるだろうが、観光客として来るのが多い世代が多く来ているという事が言えるだろう。ちなみに、東京へ来た理由としては、45%が観光が目的、35%がビジネス目的である。また、初めて来たという人が全体の40%を占めており、リピーターが60%と意外と多い。また、4日以上、宿泊する人が47%と日本人に比べて多い。4日もあれば、いろいろなところに行くことができ、多くの場所にカネを落としてもらえる可能性は日本人と比べて多くなるのではないかと予想できる。また、中国やインドをはじめとした新興国は、今経済発展の途中であり、発展の恩恵を受けている多くの人が来てくれるということも考えられるだろう。だが、現実はそんなに甘くない。外国人が行きたいと思う東京の観光地というのを東京都が調査したのだがそのTOP10に都心以外の東京郊外や島嶼地域は一つも入っていないのだ。すべて、銀座や渋谷、新宿というように答えており、東京郊外もしくは島嶼部の認識は外国人にとってとても薄いものではないかと考えられる。
以上の事から考えると日本人に比べて外国人は時間のゆとりがあるので、郊外や島嶼部に来てくれる公算はデカい。一方で、認識がとても薄いという事もあり、なかなかチャンスが来ないという現状がある。しかし、逆に言えば、認識さえ広がれば多くの人に来てもらえる可能性があるという事がいえる。
Last Update:2016/1/29
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