循環型社会への転換

-中古物件利用の検討-

早稲田大学社会科学部2年 上沼ゼミナール
斎藤康輝


マニラ郊外 撮影者:本人

章立て

  1. 研究の目的
  2. 問題の発見
  3. フロー型社会とストック型社会
  4. 日本の住宅問題
  5. フロー型の日本とストック型のヨーロッパの住宅
  6. 今後の方針
  7. 参考文献

1.研究の目的

  • かねてより問題と考えていた、人口減少社会において住宅需要の逆を行くような乱開発されてしまっている住宅を、どうにか改善する必要があると考えた。さらに高齢化が急速に進む中、新たな買い手は多く見込めず、無駄になってしまうと思っていたため。
  • 今日行われている大量生産・大量消費を変更し、循環型の社会構造にしていくのはどうかと考えた。

    2.問題の発見

  • 少子高齢化社会への対応
    →日本の少子高齢化の傾向は今後も継続し、このままでは国としての生産活力の低下は避けられない。さらに、日本のフロー型社会構造を基とする経済活力の凋落も起きてしまっている。(下図参照)
  • 空き家率の高さ
    →ドイツは10%、イギリスは2.5%に比べ、日本は13.5%(2013)にも上り、30年代には3割に達するという。

    3.フロー型社会とストック型社会

  • 住宅や、橋・道路などの社会インフラを長持ちさせることにより、持続可能で豊かな社会が実現できるという考え方。価値ある社会資産が長期的に蓄積(ストック)され、何度も作り直す無駄が省かれる結果、経済的なゆとりが生まれ、環境に対する負荷も少なくなるとされる。大量生産・大量消費を特徴とするフロー型社会と対比される。
    (コトバンクより)

    4.日本の住宅問題

  • フロー型の日本は以下のような問題を持っている。
    1.地球環境の劣化、資源・エネルギーの枯渇
    →この問題は日本のみならず、全世界で今問題になっていることであるが、非資源国である日本にとって、今後も国の成長を続けていくには、解決せざるを得ない問題だ。 2.高賃金にもかかわらず生活支出が高いことによる欧州先進国に比べた生活の質の低さ
    → 3.高賃金に起因する高生産コストによる日本産業の国際競争力の低下
    この1から3は総じて大量消費/生産の結果で生じたものである。この3つのポイントは、勿論循環型社会への移行ですべてが解決されるわけではないが、我々の生活の質を今一度磨きなおしてくれるだろう。

    5.フロー型の日本とストック型のヨーロッパの住宅

  • 欧米諸国に比べて、日本の住宅はとても短命。
  • これは耐久性の問題ではなく、新築偏重の傾向があるため、短い年月で使い捨ててしまう。
  • 下の図は、耐久年度を表したものではなく、1つの家がどの程度の長さで使われるかを示したもの



  • 出典:『45分でわかる未来へのシナリオ』岡本久人

  • ヨーロッパでは、前世代からの住宅ストックを引き継ぐため、その分コストを抑えるこたが可能。
  • ヨーロッパ人は日本人よりも生涯収入は低いのだが、この抑えたコストで、自分自身にお金を使えたり、次世代へのストックに回せる。



    出典:『45分でわかる未来へのシナリオ』岡本久人

  • 新築信仰されている日本に比べると、欧米では中古住宅の割合が8割となっている。また、イギリス・アメリカでは中古住宅売買戸数が9割にもなり、中古住宅の再利用が充実している。
  • また欧米の住宅の資産価値は投資の価格から、60年間以上ほとんど乖離していないが、日本の住宅は1980年代を境目に、半分程度の価値に落ち込んでしまう。


    出典:日本経済新聞より

    6.今後の展望

  • ストック型社会がなぜ日本で浸透していないのか、ヨーロッパではなぜ浸透しているのかを調べ、改善点を考えて行く。
  • 新築の空き家・持ち主のいない空き家問題についても調べていく。
  • 先行研究を上塗りするだけになってしまわないように、自分なりのカタチを探す。
  • 日本がなぜフロー型、短期型の住宅なのかを調べる。

    7.参考文献


    Last Update:2018/3/26
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