これからの地方創生の在り方
−政策という観点から−
上沼ゼミT
社会科学部2年 片野雄太

「長良川」出所:街画コムより
章立て
- はじめに
- 現状について
- 研究意義について
- 研究方針について
第1章 はじめに
初めに地方創生という政策について発表されたのは、2014年の第二次安倍政権の発足後である。そもそも地方の活性化という課題は歴代政権も力を入れて取り組んできたが、十分な成果は上がっていなかった。そこで地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を挙げることを目的とした地方創生が発表されることとなった。しかしそこからの約6年間、地方における若者の人口流出は以前と変わらず進み、現在も地方創生がうまく進んでいると言えるような状況にはない。
しかしそのような状況が続いていた中、2020年の7月から5か月連続で東京都からの転出超過が続いた。これはやはり2020年の新型コロナウイルスの流行によって、人口が密集することのデメリットやリスクが人々の間で意識されるようになったことが大きいと思われる。コロナウイルスは観光や経済に大打撃を与えたが、東京一極集中の是正という観点から見たとき、追い風となる面もあると思われる。実際に何か月も連続で東京都における転出超過が続くのは、以前ではありえないようなことといえるだろう。このような状況の中、これから地方創生はどのように展開していくのだろうか。
第2章 現状について
冒頭においても述べたように、現在日本においては地方創生がうまくいっていると言えるような状況にはない。実際に、震災などの災害に見舞われた際にテレワークなどについての議論はなされてきたが、結局いつも定着にまでは至っていなかった。今回のコロナウイルスに関してもそれは例外ではなく、感染者数が増えるたびにテレワークの実施が呼びかけられてはいるものの、感染者数が減ったタイミングではテレワークの実施率も減少してしまっていた。よって、このコロナウイルスの流行において生じた人々の意識を地方創生に生かすことができるかということは、この数年間のうちに定着まで至ることが条件の一つとなるだろう。コロナウイルスの流行が収まってしばらくすれば、人々の意識がまたコロナ流行前の状態に戻ってしまうことが予想されるからである。このように一時的なものでは意味がなく、地方創生という観点から見て大きなカギとなるテレワークの定着や地方への住民の受け入れ態勢などの強化をどのように進めていくのかということが今後のポイントの一つとなるだろう。
第3章 研究意義について
そもそもなぜ地方創生が現在の日本において重要であるかというと、地方の経済の縮小が深刻になっているためである。経済の縮小にともない、生活関連サービスが縮小し、さらに税収入によって行政サービスの質が低下するなど、様々な弊害が生じるのである。しかし地方創生が進むことによって地方の人口や出生率が増加するほかにも様々なメリットがあると思われる。たとえば企業の視点から見た場合、起業コストの削減や、雇用の促進に貢献できるといったメリットもある。さらに、その地方から見ると企業からのオフィスや工場といった施設への投資が期待できる。このように地方創生が成功すれば、経済の活性化にともなって多くの雇用が生み出され、若い世代の雇用問題や東京への一極集中など様々な問題の改善に同時につながると思われる。
第4章 研究方針について
今後については、地方創生に成功したと言える地域の例などを参考にしながら、テレワークや地方の移住の受け入れ態勢についてなど、地方創生を進めるうえで不可欠なものを今後数年間で定着させるために必要なことを考えていきたいと思っている。
参考文献
- 街画コム「長良川」https://machi-ga.com/21_gifu/kawaramachi/kawaramachi023.jpg(最終アクセス日:2020//)
- 総務省「地方創生の現状と今後の展開」
- 日本総研「アフターコロナを見据えた地方創生のあるべき姿 ニューノーマルを地方創生の追い風にするために」
- 日本総研「テレワークを阻害する3つの要因」
Last Update:2021/02/03
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