全国の犬殺処分数をゼロに

−複数の成功モデルを通して−

早稲田大学社会科学部2年
上沼ゼミT 藤本彩花

筆者撮影、2022年8月30日


章立て


第1章 はじめに

 今現在の研究動機は、二つである。一つは、本稿筆者は実家で二匹の犬を飼っており、犬猫の保護に常日頃から関心を持っていたことである。二つ目は、「つくばわんわんランド」という茨城県の施設に行った経験である。この施設は保護活動にも力を入れる、犬をテーマにした施設である。そこでは、たくさんの犬たちが虫に喰われてひどい匂いを発し、小さな檻に閉じ込められ叫んでいた。その光景が忘れられず、本稿筆者は、犬猫の権利を保護する研究をしたいと考えた。
 現在、日本全国の犬猫殺処分数は減少している。一見、現状維持すれば犬猫の殺処分数ゼロは達成できるように思えるであろう。しかし、そうはならない。
 確かに、2020年度全国の犬猫殺処分数は1974年以降で最小であり、その数は10年間で10分の1程度である。しかし、ここで大切なのは、殺処分の減少割合が、県によって大きくばらつきがあるということである。この年に最も低かった北海道は全体の6%、最も高かった長崎県は71%を占める。このデータから読み取れるのは、犬猫の権利問題に対処している県と、していない県があるということである。今までは、犬猫の殺処分問題に対処していた県が、日本全国での殺処分数減少を可能にしていた。しかし、それには限界がある。先ほど述べた長崎県のような、いまだに殺処分問題に対処していない県が動かなければ、日本全国区での殺処分数ゼロは不可能なのである。
 このような前提を踏まえ、本研究は、殺処分数ゼロを達成した政策モデルを考察する。例えば、国全体で殺処分数ゼロを達成しているドイツなどである。そして、その成功モデルを、日本全国区に通用する公共政策に昇華し、政策を提案する。そうして、長崎県のような犬猫の権利後進地域を無くしていくことを目標とする。

第2章 


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Last Update: 2023/01/30
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