多摩ニュータウンの高齢化

-住宅の住み替えに焦点を当てて-

早稲田大学社会科学部2年
上沼ゼミⅠ 三平 和臣


「新緑に囲まれる向陽台」
出所:稲城市フォトギャラリーより

章立て


第1章 はじめに

 本論文筆者は、多摩ニュータウンの高齢化に対する、より良い住環境の提供をテーマに研究を進めていく。
 このテーマを選んだのには理由がある。本論文筆者は、現在多摩ニュータウンの一部である稲城市に住んでおり、親も正に昭和40年代に開発されたニュータウンの地域出身である。親の実家に帰省した際、年々地域の活気が無くなっていくのを肌で感じていた。例えば、集合住宅に隣接していた商店街が2008年にはすべて閉店してしまっており、また、夏祭りや餅つきといった年に何回か開催されていた集合住宅でのイベントも2010年ごろには全く行われなくなった。以上のように、多摩ニュータウンの高齢化を肌で感じていたからこそ、高齢化に対する必要な政策の提案を行いたいと考える。

第2章 

 本章では、本稿筆者が何故、今回の研究テーマを設定するに至ったか、つまり、本研究の動機について論じる。その上で、どのように研究を行うかについて論じる。

第1節 研究動機

 再生検討会議の試算によれば、時期の新しい町田市域や稲城市域を含むニュータウン全域では、今後も暫く総人口は増え、平成37(2025)年頃がピークである。しかし、最も古い第一次入居の諏訪・永山では、何も策がなされない場合、平成62(2050)年に32%の人口減が見込まれる。


再生検討会議による人口予測
出典:多摩市、多摩ニュータウン再生プロジェクト(平成28年3月)

 このような予測が立てられ、多摩市でも市が主体となって解決策が模索されており、多摩ニュータウンの少子高齢化は社会的に重要な問題である。そのため多摩ニュータウンの住人である本稿筆者でも、当事者として解決策を模索したいと考えた。
 以上が今回の研究テーマ設定に至ったのである。次の第2節では、本節で述べた研究動機を基に、研究内容をどのようなものにするかに関して述べる。

第2節 研究内容

 多摩ニュータウンの人口動態について二つの特徴がある。
 まず、5 歳ごとの年齢階級別に見た場合に、男女とも 15~19 歳の大学入学期に、やや転入超過が見られるものの、25~29歳の就職・結婚期に大きく転出超過になっている点です。これは、多摩ニュータウン内に帝京大学や中央大学といった大学のキャンパスが存在しているために、転入が多くみられると考えられる。
 二つ目に、大規模な集合住宅の竣工による社会増(転入超過)が、人口動態に大きく影響している点です。特に30・40 歳代や、特に4 歳未満の転入が著しく、子育て世代の転入が多くなっていることを示します。これは住宅の住み替えにより老年世代(65歳以上)から子育て世代に変わったのではなく、新たな流入が起きただけということを示します。
 この二つの特徴から、元々住んでいた子育て世代の多摩ニュータウンでの継続的な定住と、老年世代と子育て世代の住み替えをスムーズに行う方策を提言する。
 以上が、本研究の動機及び、それに基づいた研究内容である。次章では、研究内容に対する、つまり、本稿筆者が掲げた問題に対して立てた理論仮説及び作業仮説を論じる。

第3章 理論仮説及び作業仮説

 本章では、第2章、第2節で述べた多摩ニュータウンの人口動態に関する二つの課題と、研究内容に対する理論仮説及び、作業仮説を論じる。理論仮説、作業仮説の順で本稿筆者が立てた仮説を述べる。
 まず、理論仮説について2つ述べる。
 一つ目が、住宅の住み替えが進まないのは老年世代にとって多摩ニュータウンの環境が快適であり、住居を移転する動機がないからではないかというものである。これは多摩ニュータウンがもともと抱える問題であり、実際に住宅価格が高騰したバブル期では、住民の多くが団地環境を再評価し、住み続ける選択をした。その結果、初期入居エリア(諏訪・永山エリア)では、もともと同世代が一斉に入居したことから、人と団地・インフラが足並みを揃えて高齢化したという実情がある。このことから、時間差での入居を進めるという観点から、住み替えによる転入を促進することは重要となる。
 二つ目に、子育て世代が住宅や都市に求めるニーズが変化したのではないかというものである。この仮説はコロナ禍を経験しテレワークが主流となった現代のワークスタイルにおいて子育て世代のニーズに沿った住宅の供給が継続的な転入につながると考えたためである。

 次に、先に述べた理論仮説に対する作業仮説を述べる。
 まず一つ目の理論仮説に対しては、老年世代にとって住みやすい環境である多摩ニュータウン内に、より高齢者の生活に合致する住環境を備えた住居を建てることである。これは未利用地やリノベーションにより可能であると考える。
 二つ目の理論仮説に対しては、サテライトオフィスやシェアオフィスの設置による都市部への通勤時間の短縮による子育て支援が考えられる。サテライトオフィスとは、都市部に主に本社を持つ企業が郊外に構えるオフィスのことであり、郊外に職場を新たに構えることで、都心まで通勤していた社員の時間や交通費用を減らすことができ、さらにこれにより、職場までの通勤にかかる時間を最小限に抑えることができるため、介護や育児など私生活との両立がとれ、社員の離職防止にもつながることが期待できる。
 以上が、本研究に対して立てた理論仮説及び、作業仮説である。第4章では、仮説を踏まえて、どこに研究対象を設定するか、及び、研究方法に関して論じる。


第4章 研究対象及び研究方法

 本章では、本研究の研究対象をどこに設定するかを論じる。また、どのように研究を進めるか、即ち研究方法について、先行事例等を踏まえつつ論じる。
 身体機能が低下した老年世代にとって、手すりやエレベータースロープといったバリアフリーは住む上で重要である。また、買い物といった日常生活の悩みを相談できる窓口は必要性が高まっている。そこで、2011年10月「高齢者住まい法」の改正により誕生したシニア向けの賃貸住宅であるサービス付き高齢者向け住宅や、民間事業者が販売・運営する分譲住宅のシニア向け分譲マンションは、最適と言える。これらの住宅は、バリアフリー構造であったり、安否確認や生活相談といったサービスであったりが提供されており、安心して老年世代が生活できる。サービス付き高齢者向け住宅は都内に374棟があるが、多摩市だけでは3棟あるのみであり、導入する余地はまだまだあると考えられる。(出典:サービス付き高齢者向け住宅の登録状況(R2.7末時点))こういった、住宅への住み替えの促進をどのように進めていくのかの検討しつつ政策を提言していく。
 以上が、本研究の研究対象及び、研究方法である。第5章では、本研究を行うことによる意義を論じていく。

第5章 本研究の意義

 本章では、前章までに論じた内容を踏まえて、本研究の意義について論じる。
 本研究は日本という国家自体が抱える少子高齢化という問題を扱っており、関西地域の三田や千里といった高度経済成長期に建設されたニュータウンが抱える問題でもある。これらのニュータウンが共通して抱える問題として、少子高齢化に伴う税収の減少、及び生産年齢人口の減少がもたらす需要の減少による行政及び、民間のサービスの低下が挙げられる。これらは社会インフラ及び市民の生活の低下を招くため喫緊の課題であり、解決する必要がある。これらの問題以外に、多摩ニュータウンが抱える問題については先行研究や自治体がすでに実施している政策を分析することで、より多摩ニュータウンに沿った政策の提言につながると考えられるので、合わせて検討していく。
 以上が、本研究における意義である。

 以上、本稿筆者の研究に関する研究計画である。研究計画を基に、研究を進め、問題に対して政策提言を行う。


参考文献・リンクページ


Last Update: 2023/01/31
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