化粧品ロスの現状を考える

―コロナ禍において考える―

早稲田大学社会科学部2年
上沼ゼミT 野村 彩莉


「化粧品」出典:PRTIMES STORY

章立て


第1章 研究の動機

 自分はコスメを集めるのが好きである。しかし、その集めたコスメをすべて使いきれるわけではない。私はここでそのような人はたくさんいるはずと思い、粧品のロスは大きいのではないかと考えた。食品や衣服の廃棄はよく耳にするが、化粧品の廃棄はあまり耳にしない。なぜこの問題は耳にしないのか疑問に思った。
 そして、いまはコロナも相まって化粧品のロスが増えているのではないかと考察した。

第2章 先行研究@化粧品ロスの現状


「余ったコスメに対する認識調査」出典:株式会社モーンガータ

 2021年、株式会社モーンガータが独自で行った5,000人調査で、コスメを使い切れずに捨てるユーザーが86.3%いることが判明。また、後に生産過程などで化粧品メーカーから出る化粧品の中身(バルク)の廃棄量は、国内上位5社だけで年間約2万トンもあることが独自調査から浮き彫りになった。メーカーや消費者だけでなく、店頭や小売での在庫やテスターも合わせるとさらに膨れ上がり、膨大な量のコスメが毎年廃棄されている計算になる。


第3章 先行研究A化粧品ロスの取り組み


「sminkart」出典:Smink art

  1. 多用途で使用できる色材に変える
     モーンガータ社は、化粧品を絵具へと変換する特許技術「magic water」を開発して手持ちの余った化粧品から絵具をDIYできる「SminkArt キット」や化粧品企業から買い上げた化粧品バルク(中身)から製造した絵具「SminkArt ときめくペイント」などの販売やイベント事業などを展開している。


    「KOSE GreenBazaar エコを考える」出典:Maison KOSE

  2. 手頃な価格で提供
     各化粧品メーカーは、シーズン中に売り切れなかった商品などの割引販売をおこなっている。サステナビリティの観点から、化粧品ロス削減の一環として割引販売が増えている。例えばコーセーは、MaisonKOSE(店舗とEC)で、お客さまに環境課題への理解を深めてもらいながら、シーズン中に売り切れなった商品をお求めやすい価格で提供する「コーセーグリーンバザール」を展開している。


    「コスドネ」出典:Beaufa

  3. 無料で必要な場所へ提供
     特定非営利活動法人ビーファは2021年12月から『化粧品ロス』×『コスドネ〈R〉』ECOプロジェクトを開始した。?化粧品の過剰生産・過剰廃棄の抑制を提唱し、一方で余剰化粧品を、貧困 や格差で化粧品を自由に使えない国内・海外への方々、災害等で化粧品を 必要とする方々への物品の提供に活用することで、地球環境に優しく、 サスティナブルな社会に貢献し、ZERO WASTEを目指す新しい考え方、 その仕組みを構築する活動を行う。

第4章 先行研究Bコロナ禍における化粧品の需要

 コロナ禍のスキンケアやメイクについて、ingoqは全国15〜59歳の女性2,000名に徹底調査した。

「メイクの頻度について」出典:infoq
メイクの頻度については59.4%の女性はメイクの頻度が減ったと回答した。

「部分別の化粧の濃さ」出典:infoq
 部分別の化粧の濃さについてはアイメイクは他の部分に比べ濃いメイクを意識している人が多く、反対にベースメイクやリップメイクは薄くなっている傾向があった。マスクで隠れないアイメイクは華やかなもの、ベースメイクやリップメイクはマスクに付かないような薄い物を選んでいるという意見があった。
 それぞれの理由としては、マスクで隠れないアイメイクは華やかなもの、ベースメイクやリップメイクはマスクに付かないような薄い物を選んでいるという意見が考えられる。
 マスクの着用により顔が見えない等の理由から、メイクにかける時間や金額は減少しているものの、部分によっては濃くする傾向も見受けられた。また同じ化粧品であるスキンケアにかける時間に関しては、メイクほどの減少傾向はなく外出自粛で空いた時間をスキンケアにあてているという声もある。

第5章 研究の方向性

 先行研究からの検討で化粧品ロスが想像以上に多かった。 その中で、各化粧品メーカーやNPOなどがその問題に対して取り組みを始めてきている。 しかし、食品ロスなどに比べるとやはりそこまで注目されていないというのが現状である。 この問題が注目されていない、されないことには何かほかの問題が隠されているのかもしれない。それは何なのかを研究する。 また、先行研究からコロナ禍において確かに化粧品の需要は減ったかもしれないが、化粧品ロスにはつながる点があまり見当たらなかった。そのため、次の段階ではコロナ禍における化粧品を含めない方がいいかもしれない。

参考文献・リンクページ


Last Update: 2023/01/31
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